“最良のコーティング”はお店選びから
新車購入時のディーラーをはじめ、中古車を買う時、買った後のガソリンスタンドやカー用品店など、今日では多彩な店舗・形態で提供されているカーコーティング。
同じ「コーティング」でも、お店によってサービス品質・費用に大きな違いがあるのをご存知でしょうか?
「お店に勧められるままにやってみたけど、よく分かっていない。。。」といった方から、「専門店に預けているけど、他の店も気になる」といった方まで、コーティングが当たり前の時代だからこそ、「自分に合ったお店」を探してみてはいかがでしょうか。
(目次)
- そもそも何でコーティング? 勧める3つの理由
- コーティングの進化と誤解
- 多様な窓口と専門店のメリット
- 専門店の選び方
そもそも何でコーティング? 勧める3つの理由
そもそもカーコーティングとは、汚れや小傷、紫外線などの外的要因から自動車の外装を保護するサービス。コーティングをすることで、大きく3つのメリットが期待できます
- 美観維持による高い満足感
- 美観維持による手入れの手間削減
- 美観維持によるリセールバリューの維持
① 満足感得られる美しい光沢
カーコーティングは、ボディ外装に特殊な液剤を塗布し、クリア塗装のさらに上に極めて薄いコーティング層を構築します。これにより、光沢が付加され、見た目に美しくなる愛車。特に自分の大切な愛車の場合、「美しい愛車」というのは他に代えがたい満足感をもたらしてくれるでしょう。
また、気持ちの面だけでなく、「キレイなクルマは事故率も低い」というのも昔から言われている定説です。運転する際の視界に直接影響するウインドウガラスはじめ、夜間運転の明るさを担保するヘッドライト、後方視界に関わるサイドミラーは、汚れ・劣化することでその機能性を著しく低下させます。
「クルマを綺麗にする」ことは、満足感に加えて安全性の面からもメリットがあるのです。
② 手入れの手間削減する防汚性
カーライフに大切な「美観」ですが、クルマは保管状況に関わらず、屋外を走行すると様々な“汚れ”に晒され、汚れることを“ゼロ”にすることはできません。
汚れの主原因:土・砂埃、道路上の油分、雨、花粉、蟻酸、樹液、鳥の糞など…。
屋外保管の場合は、屋内保管に比べてこれらの汚れが蓄積しやすい環境となります。
そして、これらの汚れは放置することでシミとなってしまう場合も。
コーティングは、施工時の美しさだけでなく、施工後の「汚れの付着を低減する効果」もあります。
さらに、付着した汚れはコーティング層の上面に付着するため、コーティング未施工の場合に比べて汚れ除去も簡単になります。
コーティングの効果が持続する限り、手洗い洗車の手間・時間も、使用する水道・カーシャンプー代も削減できるのです。
③ 傷や紫外線も軽減し、資産価値を維持
また、クルマが日頃さらされるのは汚れだけではありません。
飛び石など走行時に生じる傷や、衣類・身の回り品の引っかき・擦れなど乗降時に付着する傷など、
ボディ塗装面には常に負荷が加わっており、汚れを落とす洗車作業でさえ、“洗車傷”と呼ばれる拭き傷が生じている場合もあります。
また、太陽光の紫外線も、塗膜や樹脂パーツを劣化させる要因となっています。
これらの“クルマのダメージ”は、汚れと異なり、簡単に拭き取ったり完全に除去することが難しく、徐々に蓄積されてしまい、クルマの資産価値を目減りさせてしまいます。
そこで大切なのが、このダメージを抑えること。近年のコーティング剤では、こうした耐擦傷性やUVカットなど機能性が進化しており、見た目の美しさと同時に、愛車のダメージを抑制することができます。
クルマを下取りに出した際も、コーティングを施工することでボディのダメージを抑えて綺麗な状態を維持したことで、実際に下取り価格が上振れしたケースも珍しくなくなってきています。
コーティングの進化と誤解
美観を維持し、ダメージを抑制してくれるコーティング。年々その性能も進化しています。
かつてカーケアの定番は、樹脂の膜を手塗りで形成するワックスでしたが、その後、より持続性に優れるフッ素やシリコンを含んだポリマーコーティングが登場。2000年頃以降からは、ポリシラザンなどを活用して二酸化ケイ素(SiO2)のガラス上被膜を形成する、いわゆる「ガラスコーティング」が台頭し、現在広く普及しています。
また近年では、炭化ケイ素や窒化ケイ素などを配合し、従来より耐久性や硬度(耐擦傷性)を追求した「セラミックコーティング」も広がりつつあります。
コーティングの種類(※イメージ図表)
- 低い←持続性・表面硬度→高い
- ワックス<ポリマー<ガラス<セラミック
- 低い←価格・施工難易度→高い
※製品・店舗により異なるケースがあり、大まかな製品区分上の傾向です
一方で、注意したいのが、それぞれのコーティングは完全な上下関係にあるかというと、そうではない側面があるということです。コーティングは誰でも同一に施工できるものではなく、施工面の適切な下地処理や、コーティング剤の特性に適した塗布など、施工者の技量が仕上がり品質に直結します。
他方、例えば高性能を謳うセラミックコーティングは、概して施工難易度が高い傾向にあります。一部の製品では、施工時の湿度・温度も厳格に規定されており、技術・設備の整った施工者でなければ、十分な性能を発揮できないばかりか、ムラが生じるなど仕上がり品質を損なうケースも起きてしまいます。
また、現状ではいずれのコーティングでも施工後のメンテナンスは不可欠で、折角高価なコーティングを施しても、メンテナンスを怠ってしまうとその恩恵を得られません。
その逆に、まめなメンテナンスを行うことを前提に、あえて耐久性が短いポリマーコーティングや艶感に優れるワックスを活用し、コストと美観の両立を提案する専門店もあります。
単純に高価で新しいコーティングが最良ではなく、カーオーナー・施工者それぞれの事情により、ベストな選択は三者三様といえるのが現状です。
カーオーナー側の事情
クルマ(塗装面)の状態、手入れ(洗車、コーティングメンテナンス)の頻度、保管環境、走行頻度、地域環境、予算など
施工者側の事情
下地処理の技術レベル、施工の環境(設備など)、塗装・コーティング剤に関する知識など
多様な窓口と専門店のメリット
クルマそのものやチューニングパーツのスペックなどと異なり、依頼するオーナーと預け先の施工者の組み合わせで大きく変わってくるコーティングの品質・満足度。
現在では、以下のような店舗でコーティングを依頼することができます。
①自動車販売店(新車ディーラー、中古車販売店など)
一般的に多いのが、車両購入時にセットで依頼するケースです。
車両購入とセットで依頼できるので、わざわざ自分で店にクルマを持ち込む必要がなく、また、車両価格と合わせて値引き交渉することで、お得感を得られるケースもあります。
一方で、コーティングの専門店ではないため、選択できるコーティングサービスは限定的です。
また販売店により、販売店の非専門スタッフが施工していたり外部の専門施工者に委託していたりなど、施工体制は様々で、依頼者が施工の品質を見極めにくいという面もあります。
②ガソリンスタンド、大手カー用品店など
クルマ購入時だけでなく、すでに手元にある愛車も持ち込める店舗でもカーコーティングサービスが提供されています。ガソリンスタンドのコーティングののぼり旗は今では珍しくなくなりましたね。
店舗数が多く愛車を持ち込みやすい、専門店に比べると価格も安価な場合が多く、手頃にサービスを受けられるのが利点です。
ただ、ガソリンスタンドにしてもカー用品店にしても、多くの店舗の場合、コーティングを専門としていないので、自動車販売店同様、施工を外部委託している、大手フランチャイズのコーティングサービスを利用しているなどのケースが珍しくありません。大手FCのコーティングサービスでは、”どの店舗でも一定の品質を保つ”のが特徴のため、品質を追求する専門店と比較すると“値段相応”のケースが多く、選択肢が限定的なのもこうした量販店の特徴の1つです。
③コーティング専門店
自動車販売店やガソリンスタンド・カー用品店と異なり、コーティング自体を専門としているのが専門店です。コーティングなど自動車の美装に関わる“細かな作業”を「カーディテイリング」と呼び、そうした専門店をディテイリングショップ、その職人をディテイラーと呼ぶこともあります。
専門店の特徴は、なんといっても知識・技術・実績を備えたコーティングサービスの高い品質です。
コーティングの品質は、どのコーティング剤を使うかと同時に、施工者の技量に大きな影響を受けます。
均一的な品質を提供する前述の店舗に比べ、多くの専門店がこの品質に各々独自のこだわりを持っており、下地処理の高い技術、厳選したコーティング剤、コーティング施工に適した設備などを取り揃えており、お店ごとに様々なサービスメニューを提供しています。
例えば飲食店における「大手チェーン」と「個人飲食店・一軒家レストラン」をイメージしてみると分かりやすいかもしれません。
そして、一軒家レストラン同様、その“こだわり”の分だけ相場費用も高い傾向にあります。
一方で、例えば馴染みの個人飲食店や一軒家レストランでは、アレルギーや好き嫌いからメニューを相談できたりしますが、コーティングでも、クルマの状況や使用・保管環境、施工の目的などに応じて色々と相談できる専門店もあります。「お金は掛かっても納得した上でコーティングをしたい」。そんな人ほど、一度専門店に相談してみてはいかがでしょうか。
その他:DIY用コーティング剤
また近年では、カー用品店やオンラインショップでカーオーナー自身が施工する「簡易セルフコーティング剤」も多彩な商品が販売されています。
広く販売されているこれらの商品は、幅広い使用者・使用環境を想定し、施工性を優先している(施工難易度を下げている)ものが多く、その分、耐久性や被膜硬度といった性能面はプロ用製品に比べて抑えられています。
ただ、一部プロ用コーティングメーカーでは、コーティング施工後のカーオーナー自身によるメンテナンス用商品としてこうした簡易コーティング剤を販売しているケースもあり、コーティング施工者でも日頃の手入れ(洗車、撥水効果の復元など)として使えるアイテムは日に日に増えつつあります。
コーティング施工店舗の種類(※イメージ図表)
- 低い←専門性・品質→高い
- DIY<自動車販売店・ガソリンスタンド・カー用品店など<専門店
- 低い←価格・施工難易度→高い
※製品・店舗により異なるケースがあり、大まかな製品区分上の傾向です
専門店の選び方
一軒家レストランも店舗の数だけ特徴があるように、一口にコーティング専門店といっても、様々な特徴があります。
では、どのような店でお店選びをするのがいいのでしょうか。オススメのポイント3つを挙げてみました。
- 自宅からの距離(定期的に通えるか)
- コーティング以外のサービスの有無
- スタッフの人柄
① 自宅から通いやすい距離
「せっかく高いコーティングを施工するなら、多少遠くても名店に…。」
そうお考えのオーナー様もいらっしゃると思いますが、1つ気をつけていただきたいのは、定期的にメンテナンスをしてこそ、コーティングは真価を発揮するということ。
現状では、屋内保管で動かさないクルマでない限り、コーティング施工後完全にメンテナンスフリーで何年も持続するコーティングサービスはなく、「●年保証」などと謳うコーティングも含め、その効果を維持するためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
つまり、良質なコーティングを享受したい場合は、最初の施工だけでなく、その後定期的にチェック・メンテナンスしてもらうことも念頭に置いておきましょう。
② コーティング以外の相談をできるか
カーディテイリングの領域は実はコーティングに限らず、以下のような複数のサービスを手掛ける専門店もあります。
主なカーディテイリングサービス
- カーフィルム
- ペイントプロテクションフィルム(PPF)
- カーラッピング
- ルームクリーニング・内装リペア・除菌・抗菌コーティングなど
- デントリペア・軽補修
「とにかくコーティングにこだわりたい」という人であれば、コーティング一本の専門店を選ぶのも全然アリですが、「細かなこと色々と相談したい」といった方は、サービスを多角的に展開する専門店を探してみるのも良いかもしれません。
お店によっては、専門事業者と連携して鈑金修理の相談にも乗ってくれたり、近年ではコーティングとPPFを組み合わせた独自のカーケアメニューを提供する店舗も増えてきています。
③ 自分が話しやすいお店
自動車サービスの専門店となると、昔ながらの職人気質なスタッフも少なくなく、また、エンドユーザーではなく事業者(自動車販売店など)との取引を主としているため、接客に慣れていない専門店も中にはあるのが現状です。
一方で、クルマの状況やカーオーナーの状況・希望によって、それぞれの“ベスト”が異なるコーティング。
ベストを叶えるためには、その現況・希望をお店側が汲み取ってくれるのが第1歩となります。
最近では、高級車ディーラーさながらの心地よい内装でもてなしてくれたり、女性でも気軽に入店・相談しやすい接客スタッフがいたりと、「入店しやすい専門店」も増えていますので、
「どんなコーティング剤を使用しているか」「どんな設備・技術を持っているか」といったスペック面に頭を偏らせず、まずは相談しやすい関係を構築してみるのが、満足のいくコーティングの近道かもしれません。

現状、万能なコーティング剤というものは存在せず、「カーコーティング」の一言でも店舗によって様々なサービスが提供されています。
「正解がないけど、奥が深いコーティング」。満足するコーティングの実現に向け、まずは“自分にあったお店選び”から始めてみてはいかがでしょうか。