保護?色変え?目的で選ぶプロテクションフィルム・ラッピング

CARDEPARK編集部

保護?色変え?目的で選ぶプロテクションフィルム・ラッピング

これまで“カーディテイリング”ではコーティングとカーフィルムの2メニューが中心でしたが、近年ではボディ外装に施工するサービスとして、「ペイントプロテクションフィルム(PPF)」「カーラッピング」の2つが広がりつつあります。

どちらもボディ外装にフィルムを貼り付けるサービスですが、何を目的とするかで適正なサービスは変わってきます。

(目次)

  1. 保護目的ならPPF
  2. ファッション性求めるならラッピング
  3. 希望叶える組み合わせ
  4. フロントガラスの保護にも注目
  5. 専門店でも異なる技量

保護目的ならPPF

走行時の飛び石といった外的損傷からボディ塗装を保護するために誕生したのが、「ペイントプロテクションフィルム(PPF)」です。

元々は競技車両やスーパーカーなど一部のクルマの保護アイテムとして活用されていましたが、近年、PPF先進国アメリカのリーディングブランド「XPEL(エクスペル)」を中心に、様々なメーカーがPPF事業に参入。製品も進化・多様化し、急速に普及しつつあります。国内でも施工するショップは増え始めており、スーパーカーに限らず施工するクルマも幅広く広がりつつあります。

PPFは、特殊なポリウレタン(PU)素材をベースとした製品が多く、現在の主流は150μm程度のクリア(透明)なタイプ。

一般的に、普通車の塗装(クリア塗装含む)が150μm程度、ガラスコーティングの被膜が~1μmの水準ということからも、PPFの高い堅牢性が伝わるでしょう。

飛び石や生活傷などから守ることで、見た目の美しさを保つだけでなくリセールバリューの維持も期待できます。

近年は、技術進化や各社の開発競争が加速し、単なる飛び石や洗車傷、擦り傷からのボディ保護に加え、自己修復機能(熱を加えることで微細な傷を修復する)を有したり、UVによる黄変防止性能を改善して耐久性を高める、100μm程度の薄型タイプでコストを抑えるなど、メーカーごとの独自の工夫が施された製品がリリースされています。

また、見た目の面では、クリアのほか、クルマのイメージを一新するマット(光沢なし)タイプも広く流通しています。

さらにアメリカの「STEK(エステック)」では、カラー・柄付きPPFも展開中。ラッピング程バリエーションは多くないものの、装飾性という後に説明するカーラッピングの要素を持ち合わせており、日本でも徐々に広がり始めています。

一方で、PPFは最先端の技術製品のためフィルム費用が高く、また施工にも専門の高い技術力を要するため、カーコーティングと比べて施工費用の相場が高いのが現状です。元々スーパーカーなどハイエンド市場で普及が始まったサービスのため、1台フル施工で100万円を超えることも珍しくありません。

また、基本的にPPFは「ボディの保護」を最優先に開発された製品サービスです。

製品によっては表面の光沢性が優れていたり、技術力の優れた施工者によっては「フィルムが貼ってあることが分からないレベルの仕上がり」になることもありますが、例えばスマホ表面の保護フィルムなどと同様、「見た目を美しくするアイテムではない」ことは認識しておきましょう。

ファッション性求めるならラッピング

他方、同じボディに貼り付けるフィルムでも、車両の装飾を1番の目的としたのが「カーラッピング」です。

元々は企業の宣伝用にトラックやバスなどの商用車を装飾したフリートマーキングがルーツで、高いデザイン性と剥がせるという利便性を持ち合わせているのが特徴です。

PPFとはベース素材が異なり、ポリ塩化ビニル(PVC)が使われています。

元々素材として印刷適正に優れ、多彩なデザイン表現に用いられているPVC。

そのフィルムの技術進化も目覚ましく、近年は3次曲面が複雑なボディに施工できる伸縮性・接着性と高いデザイン性を両立。

その結果、商用車の平面に限らす、自家用車のカラーチェンジを目的に個人ユーザーが施すカーラッピングも広まりつつあります。

アメリカ大手の3M社製品のほか、各国各メーカーの様々な製品が展開されていますが、デザイン性も年々多彩になってきています。

パッと見では塗装と見間違うレベルのグロス(光沢あり)、クルマのイメージを一新するマット(光沢なし)それぞれで豊富なカラーバリエーションがあるほか、カーボン柄や金属・メッキ調、レザー調などテクスチャの種類も年々豊富に。

ラッピングだからこそ表現できるカラー・柄も少なくなく、車両全面のフル施工のほか、ワンポイントアクセントとして部分施工するケースも増えてきています。

3Mラッピングシートサンプルイメージ

一方で、未施工の状態と比べると一定の塗装面の保護能力はあるものの、PPFと比較するとフィルムが薄く、「あくまで装飾するためのアイテム」と捉えておきましょう。

また、紫外線や経年による劣化にも注意が必要で、例えば年単位で屋外保管したラッピング施工車では、フィルムの剥離が難しくなったり、場合によっては塗膜ごと剥がれてしまうといったリスクも。

これはPPFも同様ですが、ラッピングにおいても、施工の技術はもとより、フィルム特性について確かな知識を持ったプロに相談するのがオススメです。

希望叶える組み合わせ

PPFもラッピングも、愛車を守る、彩る上でとても魅力的なアイテムですが、カーオーナーにとってネックとなるのが高い施工費用です。

使用するフィルムやボディサイズ、施工ショップなどによっても異なりますが、現在、国内では1台ボディフルセットで100万円を超えるケースも珍しくなく、現状ではスーパーカーや高級車がメインの施工車両となっています。

では、「一般クラスのカーオーナーには関係ないのか」というと、そんなことはありません。

必要な部分に必要な量だけフィルムを貼り付け、価格を抑えながらPPF、ラッピングの魅力を堪能できる部分施工というサービスが広がっています。

例えばPPFでは、飛び石の影響を受けやすいフロント周り(バンパーやボンネット、フェンダー、ドアミラー)、紫外線劣化も激しいヘッドライト、生活傷が多いドアカップ、ドアエッジ、トランクエッジなど、むしろ1台フル施工よりもパーツを限定した部分施工が多いのが実情です。最近では、こうした部分施工を中心に、新車ディーラーのオプションとして設定しているケースも徐々に出てきています。

またラッピングでも、クルマのイメージを大きく左右するボンネットやルーフなどに部分施工することで、価格を抑えながら外観の印象を一新することができるでしょう。特にカーボン柄やマットカラーなどはアクセントとしての引きが強く、人気です。

どちらも注意したいのが、面積と施工価格は単純に比例しないということです。

フィルム施工は平面ほど作業が単調で、曲面が複雑な程、難易度が高くなります。そのため、PPFにしてもラッピングにしても、ドアミラーやヘッドライトなど複雑な形状は、ボンネットなど単調なパーツに比べて面積比あたりの施工費用は高くなりがちです。

そして近年では、PPF、カーラッピングの施工と同時にコーティングやウインドウプロテクションフィルム(WPF)を組み合わせるケースも増えています。

コーティングとの組み合わせ
  • PPF・ラッピングを施工していない部分をカバーする

フル施工に比べて費用を抑えながら、クルマ1台の保護、美観維持を図る

  • PPF・ラッピングフィルムに施工する

 撥水性や、紫外線からの保護性能を付加し、フィルムの劣化抑制、美観維持を図る

PPFと相性が良かったり、ラッピングフィルムに適合するコーティング剤も出てきているので、「愛車をどうしたいか」といった希望や予算に応じて相談するのが良いでしょう。

窓の保護にも注目

ボディ塗装面を保護するPPFが広がる中、最近はフロントガラスを保護する「ウインドウプロテクションフィルム(WPF)」も急速に注目が高まっています。

その背景には、「ガラス修理費用の高騰」と「WPFの進化」があります。

近年の自動車では、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)をはじめとした各種ADASが備わり、フロントガラスにもADAS用カメラなどが装着されています。

そのため、これまでだったらリペアが可能だった飛び石傷でもガラス交換を余儀なくされた、ガラス交換の際にカメラの再調整費用が加わり高額になった、といったケースも増えています。

そこで有効なのが、厚みのあるクリアなフィルムで表面を保護するWPFです。

PPFとは異なりPET素材を基材とする製品が中心ですが、PPF同様フィルムが高価で施工難易度も高く、耐久性も一般的なカーライフに耐えうるものではなかったため、従来は競技車両やスーパーカーなど一部の車両でのみ取り扱われてきました。

ただ、ここにきて製品種類が増え始め、以前よりも手が出しやすい価格になると同時に、耐久性も向上。

ガラス修理の費用とのバランス感を鑑みて、より実用的なアイテムになりつつありますので、PPF施工と同時に依頼するカーオーナーも増えてきています。

 

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